家族介護への現金支払い

公職研

家族介護への現金支払い

職員研修臨時増刊号No.89
  • 介護保険の制度創設にあたって、家族介護に対する現金給付の是非が問題となった。
    当時、反対意見も多いなか、市町村が中心になり現金支払いの制度が始まっている。
    本書では、現金支払いの実態を実証研究をもとに明らかにし、市町村の意思決定に影響を与えた要因を究明することで、今後の施策展開の方向性と課題を示す。
    これまで福祉政策領域から十分な関心は払われてきたとは言えない問題を、多角的視点から実証的に解き明かそうとした意欲的力作の1冊である。


目次

    序章  研究の目的と意義

    第1節 研究の目的
    第2節 研究の意義
    第3節 研究および本書の構成


    第1章 「家族介護への現金支払い」の理論的検討

    第1節 基本概念の整理

    1 現金支払いの対象としての「家族介護」
    1.1 家族介護の側面――介護労働と介護関係
    1.2 家族介護の範囲と内容
    2 高齢者介護政策としての「現金支払い」
    2.1 社会政策における位置づけ
    2.2 家族介護への現金支払いの全容
    2.3 「現金給付」と「現金支払い」および「介護手当」の用語法

    第2節 家族介護への現金支払いの類型論

    1 現金支払いの諸類型
    1.1 増田(2003)による分類
    1.2 Evers et al. eds. (1994)による分類
    1.3 Glendinning et al. (1997)による分類
    1.4 Ungerson(1997)による分類
    2 家族介護への現金支払いのパターンの分析枠組みの提示

    第3節 家族介護への現金支払いの理論化

    1 社会保障制度論的アプローチ
    2 ジェンダー論的アプローチ
    3 福祉多元主義論的アプローチ
    4 扶養理論的アプローチ
    5 その他のアプローチ 
    5.1 福祉の専門性
    5.2 利用者主体・自己決定権
    5.3 脱観念論・情緒論
    5.4 公共財としての福祉 


    第2章 「高齢者介護政策の転換」の含意

    第1節 「日本型福祉」の転換と家族介護の位置づけ

    1 「日本型福祉」とは
    2 日本型福祉社会論における含み資産としての家族介護
    3 介護保険制度創設における家族介護の位置づけと現金給付
    4 分析視点の提示

    第2節 高齢者福祉における地方自治体の役割

    1 市町村の役割重視の契機
    2 市町村の役割重視の本格化
    3 介護保険制度の保険者としての役割
    4 分析視点の提示


    第3章 研究方法

    第1節 研究の枠組みと分析アプローチ

    1 研究の枠組み
    2 分析アプローチ
    3 分析対象とする現金支払いのパターンと事例

    第2節 調査の概要

    1 事例調査
    1.1 野田市
    1.2 園部町
    1.3 泰阜村
    2 質問紙調査 
    2.1 「都道府県調査」
    2.2 「郡部調査」
    2.3 「都市部調査」


    第4章 現金給付に対する市町村の主張

    第1節 本章の課題
    第2節 分析方法

    1 分析対象者の概要 
    1.1 介護保険法案国会審議過程における位置づけ
    1.2 分析対象とする公述意見
    2 分析対象者の特性

    第3節 介護保険制度における現金給付導入の主張

    1 政府の制度化見送りの論拠
    2 市町村長の主張
    2.1 現金給付に賛成の論拠
    2.2 現金給付に反対の論拠
    3 市町村長の主張の論点整理

    第4節 家族ヘルパーと家族介護慰労金の導入

    1 家族ヘルパーの容認
    1.1 医療保険福祉審議会における議論
    1.2 厚生省の方針転換と運営基準の改正
    2 家族介護慰労金支給事業の創設
    2.1 介護保険制度の見直し論
    2.2 家族介護支援対策としての家族介護慰労事業 

    第5節 小括


    第5章 地方単独事業介護手当と家族介護慰労金

    第1節 本章の課題
    第2節 分析方法

    1 現金支払い類型における位置づけ
    2 分析枠組みと分析概念の整理
    3 分析データ

    第3節 地方単独事業介護手当の実態

    1 都道府県単独事業介護手当の変遷
    2 家族主義のなかの介護手当
    2.1 目的と支給対象者
    2.2 支給額と支給制限
    2.3 「介護者」と「寝たきり老人等」の定義

    第4節 都道府県と介護手当支給事業

    1 介護保険制度導入による単独事業介護手当への対応
    2 単独事業介護手当の廃止理由
    3 単独事業介護手当の継続意義 

    第5節 市町村と介護手当支給事業

    1 介護保険導入直後の状況変化――都道府県との比較 
    2 介護保険定着後の状況変化――都市部と郡部
    3 廃止理由と継続意義――泰阜村の事例より

    第6節 小括


    第6章 地方単独事業としての「現金給付」

    第1節 本章の課題
    第2節 分析方法

    1 現金支払い類型における位置づけ
    2 分析枠組みと分析概念の整理
    3 分析データ

    第3節 「現金給付」の制度化――野田市の事例より

    1 「現金給付」制度化の背景
    2 「家族介護者等助成金」の給付内容

    第4節 「現金給付」制度化の意義

    1 「現金給付」制度化の主張
    2 市民運動の展開 
    3 市議会における議論
    3.1 現存する家族主義の評価 
    3.2 介護保険制度の促進と財政上の実現性
    3.3 訪問介護の利用意向に対する配慮 
    3.4 家族介護の質の確保 

    第5節 「現金給付」に対する市民の評価

    1 訪問介護の利用状況
    2 「家族介護者等助成金」の支給状況
    3 「家族介護者等助成金」に対する一般評価

    第6節 小括


    第7章 家族ヘルパー派遣による現金支払い

    第1節 本章の課題
    第2節 分析方法

    1 現金支払い類型における位置づけ
    2 分析枠組みと分析データ

    第3節 家族ヘルパー派遣の実態――園部町の事例より

    1 家族ヘルパーの導入
    1.1 地域福祉への取り組みの契機
    1.2 介護ボランティアとヘルパー養成事業の展開
    1.3 福祉シルバー人材センターの設立
    1.4 介護保険事業への参入
    2 家族ヘルパーの現状
    2.1 家族ヘルパーの利用状況と勤務実態
    2.2 家族ヘルパーの事例調査より
    3 家族ヘルパー派遣の意義
    4 郡部調査にむけての問題提起

    第4節 郡部自治体首長の家族ヘルパー派遣意向

    1 分析枠組みと分析対象者 
    1.1 分析枠組み
    1.2 調査対象と方法
    1.3 分析対象者の特性
    2 分析方法 
    3 分析結果と考察
    3.1 社会・文化的要因
    3.2 政治的要因
    3.3 制度的要因
    3.4 サービス環境的要因
    4 都市部調査にむけての問題提起

    第5節 都市部自治体首長の家族ヘルパー派遣意向

    1 分析枠組みと分析対象者
    1.1 分析枠組み
    1.2 調査対象と方法
    1.3 分析対象者の特性
    2 分析方法
    2.1 家族ヘルパー派遣意向の関連要因
    2.2 家族ヘルパー派遣意向の影響要因
    3 分析結果
    3.1 家族ヘルパー派遣意向の関連要因
    3.2 家族ヘルパー派遣意向の影響要因
    4 派遣の一般化の観点からの考察 

    第6節 小括


    終章  研究の総括と課題

    第1節 家族介護への現金支払いの政策展開

    1 現金支払いの実態(実施状況)
    2 現金支払い制度化の意義および主張の論拠
    2.1 現金給付の代替策の導入
    2.2 地方単独事業介護手当の継続
    3 現金支払い制度化の影響要因
    3.1 新たな施策の導入に対して
    3.2 従来からの施策の継続に対して
    4 現金支払いの政策展開の方向性
    4.1 家族ヘルパー派遣(第2象限)
    4.2 介護者対象の地方単独事業介護手当と家族介護慰労金(第3象限)
    4.3 要介護者対象の地方単独事業介護手当(第4象限)
    4.4 介護保険制度における現金給付(第1象限)

    第2節 家族介護への現金支払いの課題

    1 日本モデルの提示
    1.1 「残余モデル」から「制度モデル」へ
    1.2 「制度モデル」の2つのアプローチ
    2 残された課題 


    資料「郡部調査」調査票および単純集計結果
    「都市部調査」調査票および単純集計結
    参考文献



一覧へ戻る

 

 

 

〒101-0051 東京都千代田区神田神保町2-20
電話 03-3230-3701(代表) FAX 03-3230-1170 hello@koshokuken.co.jp
Copyright (C) 公職研 All rights reserved.